費用と選定
AI音声カルテが向く診療所・向かない診療所
音声から診療記録を作るサービスが合う診療体制と、合わない診療体制を整理しました。導入してから起きやすいつまずきと、自院で試すときに何を測るかも扱います。
音声から診療記録を作るサービスは、どの診療所でも同じように役立つわけではありません。合わない体制で導入しても、結局使われずに終わります。
このページでは、向く条件と向かない条件を分けて書きます。向かない条件のほうを先に読んでいただいても構いません。
向いている条件
対面での診察が中心である
診察室で医師と患者が話す音声を扱うため、対面診療が主な用途になります。オンライン診療が中心の体制では、想定している使い方と離れます。
再診の比率が高い
前回までの経過を踏まえて記録を作る場面が多いほど、下書きがある状態の価値が出ます。初診ばかりで毎回ゼロから書く体制よりも、経過を追う診療のほうが効きやすい傾向があります。
記録を診察後に持ち越している
診察中に記録が終わらず、診療後や帰宅後に書いている状態であれば、下書きが出来ている効果を体感しやすくなります。逆に、診察中にほぼ書き終えられている体制では、変化を感じにくいことがあります。
向かない条件
ここに当てはまる場合、導入をお勧めしません。
英語など日本語以外での診療が必須である
日本語での診察を前提にしています。診察の大半が日本語以外で行われる体制では機能しません。
紙カルテで運用している
生成された記録を電子カルテへ入れる前提の仕組みです。紙カルテのままでは、記録を印刷して貼るといった運用になり、狙った効果が出ません。
電子カルテが完全に閉域で運用されている
外部との通信を一切許可しない設定であれば、そもそも利用できません。別端末を用意する、通信を許可する範囲を決めるといった調整が可能かどうかが前提になります。
医療クラークがすでに配置されている
記録作成を担当する方がいる場合、置き換えになるのか併用になるのかを先に決める必要があります。役割が整理されないまま導入すると、二重の確認作業が増えるだけになることがあります。
導入してから起きやすいつまずき
導入前に想定しておいていただきたい点です。
診察室に複数の人がいる
患者だけでなく、看護師や付き添いの方が話す場面があります。誰の発言かをどこまで区別できるかは、実際の診察室の状況で確認していただく必要があります。ここは事前に必ず試してください。
方言や固有の表現が多い
地域特有の言い回し、漢方や生薬の名称、施設内でのみ通じる略語などは、変換の精度が落ちる場合があります。診療科によって扱う語彙が違うため、一般的な精度の数値では判断できません。
録音の開始と停止を忘れる
操作が一つ増えます。次の患者の診察が始まっているのに前の録音が続いている、あるいは録音していないまま診察が終わっていた、という状況は起こり得ます。運用で吸収できるかを見ておく必要があります。
患者の登録に手間がかかる
記録をどの患者に紐づけるかの操作が発生します。日々の患者数が多いほど、この操作の負担が積み上がります。
自院に合うかを試す方法
一般的な精度の数値では判断できません。 診療科・診察室の環境・話し方によって結果が変わるためです。実際に試したうえで、次の項目をご自身で確認していただくのが確実だと考えています。
- 通常どおり診察したときに、下書きがどこまで使える形で出てくるか
- 修正にかかる時間が、これまで記録に使っていた時間より短いか
- 診察の流れを止める操作がどこで発生するか
- 記録を電子カルテへ移すまでに何回の操作が必要か
数字は自院で測ってください。他院での結果は、診療体制が違えばそのまま当てはまりません。
まとめ
音声から記録を作る仕組みは、対面・再診中心で、記録を診察後に持ち越している体制に向いています。紙カルテ、閉域運用、日本語以外での診療が中心の場合は、現時点では合いません。
判断に必要なのは精度の数値ではなく、自院の診察の流れの中で使えるかどうかです。料金の考え方とFAQも判断材料としてご覧ください。