音声カルテの基礎
SOAPのどこまでを自動で書けるか
会話から作られる記録の下書きが、SOAPのS・O・A・Pそれぞれでどこまで書けるのかを分けて整理しました。確認が必要になりやすい箇所も扱います。
会話から記録の下書きを作る仕組みは、SOAP の全体を同じ精度で書けるわけではありません。項目によって、会話の中に材料があるかどうかが違うためです。
このページでは S・O・A・P に分けて、どこまで書けてどこに確認が要るかを整理します。
前提
ここで扱うのは電子カルテそのものではなく、診察の会話から記録の下書きを作り、医師が確認したうえで既存の電子カルテへ移す仕組みです。下書きをそのまま保存する運用にはできません。
S(主観的情報)
会話の中に最も材料がある項目です。 患者が話した症状、経過、困っていることは、そのまま診察で交わされます。
確認が必要になりやすいのは次の場面です。
- 患者が複数の症状を話し、どれが今回の主訴かの判断が要る場合
- 付き添いの方が代わりに話している場合
- 診察と関係のない会話が混ざった場合
O(客観的情報)
会話に現れる部分と、現れない部分に分かれます。
診察中に声に出した所見は材料になります。一方、検査値や画像所見のように、会話ではなく別の場所にあるものは含まれません。バイタルの数値も、読み上げていなければ会話には出てきません。
したがって O は、会話由来の部分と、別途入力する部分を組み合わせることになります。ここをどう運用するかは導入前に決めておいてください。
A(評価)
確認が最も必要になる項目です。
評価は医師の判断そのものです。診察中に考えを声に出していれば材料になりますが、頭の中で判断して口に出していない場合、会話には現れません。
現れなかった判断は下書きにも出てきません。ここを補うのは医師の確認の工程です。Aが薄いまま保存されると、記録として意味をなさなくなります。
P(計画)
比較的材料が揃いやすい項目です。 次回の受診時期、処方の変更、検査の予定は、患者に伝える必要があるため会話に出ます。
一方で、伝えていない方針は現れません。「様子を見て次回判断する」といった内部的な判断は、口に出していなければ含まれません。
運用で決めること
以上を踏まえると、次の点を決めておくと運用が回りやすくなります。
声に出す範囲を決めるか。 評価を意識的に口に出す運用にすると A が充実しますが、患者の前で話す内容には配慮が要ります。
O のうち何を別途入力するか。 検査値をどの時点で入れるかを決めておかないと、下書きと実際の入力が二重になります。
確認の重点をどこに置くか。 すべてを同じ密度で見るより、A を重点的に見る運用のほうが現実的です。
診療科による違い
扱う情報の性質によって、書きやすさは変わります。会話の比重が大きい診療では材料が多く、検査所見の比重が大きい診療では O の大半が会話の外にあります。
自院の診察で試して確かめてください。 確かめ方は自院で確かめる手順にまとめています。
次に読むもの
仕組みの位置づけはAIカルテとは何か、そして何ではないか、外来での流れは外来の流れを止めずに運用するをご覧ください。