運用とデータの扱い

外来の流れを止めずに音声入力を運用する

診察の音声から記録を作る仕組みを、外来の一日の流れに沿って整理しました。診察前の準備から記録の確認と転記まで、どこで操作が発生し、何につまずきやすいかを扱います。

音声から記録を作る仕組みで最も多くいただく質問は、精度ではなく運用です。診察の流れの中で本当に使えるのか、操作が増えて逆に遅くならないか。

このページでは、診察1件の流れに沿って、どこで何が起きるかを書きます。

診察前 — 患者を選ぶまで

記録をどの患者に紐づけるかを指定してから、録音を開始します。ここが一日の中で最も回数の多い操作になります。

患者情報をあらかじめ登録しておく方法もあります。日々の患者数が多い施設では、この準備の有無で負担が変わります。導入前に、この操作が診察の合間に収まるかを確認してください。

診察中 — 何が記録に残るか

録音を開始したあとは、通常どおり診察していただく形になります。口述する必要はありません。

ただし、実際の診察室では想定外の音声が入ります。

医師と患者以外の発言

看護師の声、付き添いのご家族の発言が混ざります。誰の発言として扱われるかは、診察室の人数や座る位置によって変わります。複数名が同時に話す場面が多い診療科では、事前に実際の環境で確認しておくことをお勧めします。

診察と関係のない会話

世間話、待合の物音、他の診察室の声などが入ります。記録に不要な内容がどこまで除かれるかは、環境によって差が出ます。

診察後 — 下書きの確認と転記

診察が終わると、会話をもとにした記録の下書きが出来ます。ここから2つの操作が発生します。

医師が内容を確認する

自動で作られた内容をそのまま保存する運用にはできません。 事実と異なる記載がないか、必要な情報が欠けていないかを医師が確認します。誰がいつ確認するかを、運用の中に決めておく必要があります。

電子カルテへ移す

確認した記録を電子カルテへ入れます。コエカルの場合はコピーして貼り付けていただく形で、電子カルテ側の設定は要りません。

この操作にどれくらいかかるかは、お使いの電子カルテの画面構成によって変わります。実際の端末で試して測っていただくのが確実です。

一日の終わりに残る作業

診察のたびに記録を確認して転記していれば、診療後にまとめて書く作業は減ります。一方で、確認を後回しにすると、下書きが溜まった状態で一日が終わります。

下書きがあること自体は記録の完了ではありません。 どのタイミングで確認まで終わらせるかを決めておかないと、作業が後ろにずれるだけになります。

運用でつまずきやすい点

録音の停止を忘れる

次の患者の診察が始まっているのに前の録音が続いている、という状況は起こり得ます。運用として、どのタイミングで停止するかを決めておく必要があります。

電波が届かない場所で診察する

往診先や電波状況の悪い診察室で使えるかどうかは、通信を前提とする範囲によって変わります。該当する場面がある場合は、導入前に個別に確認してください。 ここは施設ごとに条件が異なります。

マイクをどう選ぶか

診察室の広さ、机の配置、医師と患者の距離によって適した機材が変わります。一般的な推奨機種を挙げるより、実際の診察室で試していただくほうが確実です。

録音データがどこに残るか

音声がテキストになったあとも、元のデータがどう扱われるかは確認が必要な項目です。保存期間、保存場所、閲覧できる権限の範囲を、資料の形で受け取っておくと稟議が進めやすくなります。

患者への説明

診察を録音することについて、患者へどう説明するかは運用上の論点です。院内掲示で周知する、診察時に口頭で伝えるなど、施設によって方法が異なります。

法令解釈に関わる部分は個別の確認が必要になるため、ここでは扱いません。導入をご検討の際にご相談ください。

まとめ

音声から記録を作る仕組みは、診察の流れに操作を2つ加えます。録音の開始と停止、そして下書きの確認と転記です。

この2つが診察の合間に収まるかどうかが、運用が回るかの分かれ目になります。判断には実際の診察室で試していただくのが確実です。

電子カルテを変えずに音声入力を追加する方法では導入前の確認項目を、向く診療所・向かない診療所では合わない体制を整理しています。

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